特集 企業経営と公衆衛生の接点
フードバンク活動で未来の子どもたちへの投資を
米山 けい子
1,2
1認定NPO法人フードバンク山梨
2全国フードバンク推進協議会
pp.274-278
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209117
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フードバンクとは
日本で,まだ十分に食べられるのに廃棄されている食品(食品ロス)は2015年は646万トンもあった.1人当たり1日,お茶わん約1杯分(約136g)の食べ物が捨てられていることになる.これは,国連世界食糧計画による世界全体の食料援助量320万トンの約2倍に匹敵する.「フードバンク」とは,そのようなもったいない食品を生活困窮世帯や福祉団体に無償で提供する活動である.
日本の子どもの貧困率は13.9%で,実に7人に1人の子どもが貧困とされる.280万人あまりの子どもが貧困世帯で暮らしていることとなる.膨大な量の食品が捨てられている一方で,十分な食事をとることのできない子どもたちが潜在的にたくさん存在している現実がある.フードバンクは,このような食のアンバランスを是正することのできる活動である.しかし,現在のフードバンクを取り巻く環境は厳しく,全国各地のフードバンク団体は,行政との連携不足,ノウハウ不足,運営費の不足などの課題を抱えており,活動の推進が阻まれている.欧米は積極的に食品ロスの削減に取り組んでおり,貧困問題を解決するため,フードバンクへの公的支援策も行われている.日本にはフードバンクを推進するための法制度はいまだない.全国フードバンク推進協議会では「食品ロス削減推進法案」の可決を求めている.この法案の中にフードバンク活動への支援が初めて明記されることとなる.
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