連載 今月のニュース診断
卵・卵巣の‘用途'の拡大
斎藤 有紀子
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1北里大学医学部医学原論研究部門法哲学・生命倫理
pp.1140-1141
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100345
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卵巣凍結の臨床研究
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会が,がんの放射線治療などを受ける女性患者が不妊になることを避けるため,あらかじめ卵巣を摘出し,凍結保存する臨床研究を承認した。「これまでも卵子を取り出して凍結保存する方法はあったが,排卵誘発のため2週間程度必要となり,がん治療開始が遅れる問題があった。卵巣を摘出し液体窒素で凍結保存すれば,緊急を要する治療にも対応できる」という(毎日/9月28日)。
本誌前号にも,進行子宮頸癌の妊孕能温存手術に関する福地剛医師の論文があった。ちょうど1年前の本欄でも,卵子・卵巣凍結をめぐる国内外の状況をレビューした。さらに筆者は,昨年10月から今年3月,厚労省特別研究「ヒト胚の研究体制に関する研究」(主任研究者:吉村𣳾典・慶應大教授)で,卵巣(全部または一部)を摘出する可能性がある人に対して,摘出後の卵巣や卵細胞を,自分の妊孕性の担保や,医学研究,他人の不妊治療のために提供することをどう思うか,ヒアリング調査を行なった。
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