連載 今日から始めるDevelopmental Care 一歩先行く援助者を目指して・6
ディベロップメンタルケアとカンガルー・マザー・ケア(KMC)
中村 和恵
1
,
大山 牧子
2
,
森口 紀子
2
1小児科
2神奈川県立こども医療センター
pp.852-857
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100282
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はじめに
早産で生まれた赤ちゃんを,お母さんの胸に直接肌と肌を触れ合わせて抱っこするケアが南米コロンビアではじめられ,世界に紹介されてから20年以上がたちました。初期には,このケアは,新生児医療が十分に提供できない,医療設備やスタッフが限られた状況での保育器の代替法として発展しました。その後の研究で,単に保育器の代わりというだけでなく,それ以上の価値を持つものであることが明らかにされるとともに,高度な医療を提供できる国々も含め世界中で広く行なわれるようになりました。
早産や低出生体重で生まれた赤ちゃんに行なわれるこのケアは,これまでkangaroo care,kangaroo method,kangaroo mother interventionなどのさまざまな名前で呼ばれてきました。最近では,お母さんがこのケアの中心を担うこと,お母さん自身がこのケアによって力づけられること,また母乳育児の重要性を強調するという意味を込めて「カンガルー・マザー・ケア,Kangaroo Mother Care(以下,KMC)」と呼ばれるようになってきています1-3)。
この言葉では「Mother(お母さん)」が強調されてはいますが,もちろんお父さんや他の家族によってもこのケアが提供できます3)。日本では,出生直後の母と子の早期接触をカンガルーケアと呼ぶ場合もありますが,今回は,早産児や低出生体重児に対して行なわれる継続的なケアであるKMCについて,述べていきたいと思います。
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