FORUM 世界の食生活・Vol.1
カンガルーの冷凍しっぽ
-――中央砂漠に暮らすアボリジニの “伝統食”
平野 智佳子
1
1国立民族学博物館人類基礎理論研究部
pp.1058-1060
発行日 2023年9月23日
Published Date 2023/9/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu286131058
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オーストラリア先住民のアボリジニの伝統食といえば,何を想像されるだろうか? 私が普段調査を行っている中央砂漠だと,木の実や果実,イモ虫,蜜アリ,オオトカゲ,エミューなどが伝統食としてあげられるだろう.いずれもブッシュ(郊外に広がる,かん木の生い茂る藪)に生育する動植物で,アボリジニの間ではなじみのある食べ物である.そのなかでも特によく目にするのがカンガルーだ.オーストラリアには約5万頭のカンガルーが生息している.アボリジニはそれらを古くから食料とし,私も調査時には週2回くらいのペースでカンガルーを食べていた(私自身の好物でもあるので,食べる機会が増えていたのかもしれない).ここでは,中央砂漠で大人気のカンガルーの冷凍しっぽを紹介したい.
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