特集 母乳外来からみる“お金とケア”の関係
母乳外来の現状調査
③日本赤十字社医療センター
川井 由美子
1
1日本赤十字社医療センター
pp.206-208
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100160
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母乳外来を設置したねらい
日本赤十字社医療センターは,渋谷区広尾に位置する一般病院である。近隣には高級住宅や大使館,大学などが多く,若者が多く集まる渋谷駅周辺とは異なり,緑に囲まれた閑静な環境にある。当センターを利用する妊婦の層は,年齢層では35歳以上が27%,40歳以上が5%であり,その背景には高学歴の方が多いという特徴がある。また,MFICU,NICUが併設されていることで母体搬送も多く,近年は不妊治療後や多胎の方が増え,ハイリスク妊婦増加が続いている。さらに既往帝切の経腟分娩希望や,2000年BFHI認定後は母乳育児希望を理由に当院を選択される方も増えている。
当センターは1972年の発足時から母乳育児の推進に努めてきたが,当初は退院後の母乳育児相談はシステム化されていなかった。退院後の乳房トラブルは,産科外来の一般診療の別枠として助産師がケアを実施していたが,乳腺炎の程度によっては,母乳育児断念に至ることも多かった。70年代後半から,助産師による継続ケアを目指す動きはあったが,産科全体の意識の統一やシステムづくりには,さらに時間を要した。
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