--------------------
病的性格について
井村 恒郞
pp.30-33
発行日 1951年9月10日
Published Date 1951/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200140
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
世の中には,氣狂いでもなく,また低能でもないのに,満足な社會生活のおくれない人たちがいる。その人たちは,社會生活をおくるのに必要な慣習とか道徳とかを心得てはいるのだけれども,それでいて,まともな社會生活のいとなめない人たちなのである。彼らは,よほど自分たちに都合のよい,思いどおりにできているような生活環境におかれていないかぎりは,ちよつとしたことにでも葛藤をおこしたり,あるいは破綻したりすることになつて普通の社會環境にうまく適應してゆくことができず,たえず他人に迷惑をおよぼしたり,あるいは自分自身がいたずらに苦しんだりする結果をまねくのである。たとえそれが社會に害惡を流すものであるにしろ,または自分自身が傷つくようなものであるにしろ,摩擦をおこすことなく生涯を全うすることのできないような,そのような,いわば宿命を負つた人たちが,病的性格または異常性格といわれる人たちなのである。
こうゆう病的性格にはいろいろのクイプがある。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.