特集 「わかること」「わからないこと」の間にある遺伝の話
“遺伝”を取り巻く医療の現実―科学部記者の取材から
増田 弘治
1
1読売新聞大阪本社科学部
pp.130-136
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100144
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
「妊娠したかな?」と思ったとき,「お腹の子の染色体は正常かしら」と考えながら検査を受けに行く女性はそんなに多くないと思う。遺伝子の問題を意識して人間ドックを受診する人もあまりいないだろう。しかし,医師から「あなたのお子さん,染色体に問題があるかもしれませんね」とか,「あなたは炎症を起こしやすい体質ですね。遺伝的な問題です」と告げられるかもしれない。
「遺伝」はさまざまな医療分野に入り込んでいる。「特殊な病院の特殊な診療科の話題だ」とたかをくくっていると,ある日突然,“びっくり箱”を開けてしまったということになりかねない。それが,昨今の医療事情だ。すでに経験済みの人も,思いのほか多い。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.