連載 とらうべ
子どもを犯罪からどう守るか
小宮 信夫
1
1立正大学文学部社会学科
pp.407
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100103
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- 文献概要
子どもの命が奪われる痛ましい事件が相次いだため,住民によるパトロールや登下校時の見守り活動を強化したり,携帯電話への情報配信システムや送迎用のスクールバスを導入したりすべきという声が高まっています。確かに,大人が子どもを守ることは必要であり,当然の義務でもあります。しかし,大人が24時間すべての場所をカバーすることはできません。仮にできたとしても,子どもはいずれ独り立ちしなければなりません。したがって,子ども自身にも,被害に遭わない力をつけることが必要になります。そこで,従前から提案してきたのが「地域安全マップづくり」です。
地域安全マップとは,犯罪が起こりやすい場所を表示した地図です。犯罪が起こりやすい場所は,「入りやすい場所」と「見えにくい場所」です。だれもが「入りやすい場所」では,犯罪者も怪しまれずにターゲットに近づけて,犯行後に逃げやすいから,犯罪が起こりやすくなります。また,周りから「見えにくい場所」も,犯罪者がひそかに隠れることができ,犯行が発見されにくいから,犯罪が起こりやすくなります。
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