連載 今月のニュース診断
帝王切開ミス医師の逮捕―異状死の届け出,医師不足の現状
斎藤 有紀子
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1北里大学医学部医学原論研究部門法哲学・生命倫理
pp.324-325
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100086
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手術ミス医師逮捕
一昨年12月,帝王切開した女性(当時29歳)が死亡した事例で,福島県立大野病院の産科医が,業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反容疑で逮捕された。妊婦が胎盤癒着で大量出血する可能性を知りながら,十分な検査や高度医療が可能な病院への転送をせず,帝王切開で胎児を取り出した後,癒着した胎盤を無理にはがし大量出血で死亡させ,また死体検案を警察署に届けなかった疑い(産経2月19日ほか)。
各紙の情報を総合すると,事故は2005年になって発覚。県は1月に専門医による調査委員会を設置し,3月には事故の要因を「癒着した胎盤の無理な剝離」「対応する医師の不足」「輸血対応の遅れ」等と結論した。執刀医の判断ミスを認め遺族に謝罪し,補償問題を交渉中という。執刀医は減給1か月,病院長も戒告処分となった。
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