特集 障害のある子どもの母親を支える
地域で初めて出会う社会資源は保健師!―お母さんと協働で作成した「私たちの子育てを通じて―療育すくすくガイド」の紹介
菊池 史香
1
,
森田 桂
1
,
吉原 恭子
1
,
幸田 遙
1
,
甲斐 静江
1
1東京都多摩立川保健所
pp.218-222
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100064
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母親たちとの協働作業
東京都多摩立川保健所(表1)では,平成9年から療育相談事業として,「すくすくフォローグループ」を立ち上げた。このグループは,未熟児や障害児のいる母親を対象に,児の障害を受け入れる過程の支援,母親の交流や情報交換の場として活動を実施していたが,平成15年に自主グループ化を図り,最近では,母親たちが自らの現状を保健所保健師と共に地域に発信できるまでに力をつけ,地域の重要な社会資源となっている。
今回紹介する「私たちの子育てを通じて―療育すくすくガイド」(写真1,表2)は,平成16年度療育相談事業「母子保健・療育の地域連携について考えよう」のシンポジウムを通し,障害児を抱える家族と地域の療育を支える関係者双方が,複雑かつ機能分化された制度や社会資源について理解を深め,適切な対応ができる工夫が必要であるということを確認し,この「すくすくフォローグループ」の母親たちと協働して作成した。本ガイドブックは,10組の先輩ママたちが,子どもの障害を受け入れる過程や勇気を出してはじめて行政の窓口に相談に行った時の思い,どんな時期に制度を利用したかを経時的に紹介している(図1)。これは,先輩ママたちからこれから障害児を育てる母親へのメッセージとしての役割と,地域の母子保健や福祉の関係者が障害児療育の現状や課題を共有するための情報としての役割を担っており,どちらをとっても力強い味方になると思う。
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