特集 障害のある子どもの母親を支える
助産師さんは,障害児子育ての最初のサポーター
杉井 智子
1
1すぺーす結
pp.194-198
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100059
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はじめに
私は二分脊椎症の16歳の子どもの母親です。もともと障害児にかかわる仕事をしていた私でしたが,障害児を産んだことは,私にとって人生観がひっくりかえるくらい大きな出来事でした。
出産から始まった子どもとの日々は,妊娠中に繰り返しイメージしていたものとはまったく違った出来事の連続で,特に出産してから自分が産科を退院するまでの5日間は,どのように毎日をすごしていたのかわからないくらい怒涛の日々でした。
あの日から16年たち,また障害児の子育てサロンの主宰者として,多くの障害児のお母さんたちの出産についての話を聞くようになって,「障害児の子育てにおいて,産後すぐの時期がとても大切な時期だ」ということを感じるようになりました。産科の医師からの無神経な一言で,子育てをすることができなくなってしまった人。大きな障害をもっていたにもかかわらず,病院のいろいろな部署がチームを作って両親をしっかりサポートしたことで,早い時期から子育てを考えていくことができた人……。
すぺーす結に初めてこられたお母さんは,障害のあるわが子を育ててきた道のりを話すときに,たいていの場合,出産直後のことから話を始めます。それも,“赤ちゃんを産んだ喜びの時期”としてではなく,“困難な子育てを予感させる最初の時期”として語られることが多いのです。
私自身の経験と,すぺーす結のお母さんたちの話から,障害児の母親にとって出産直後はどのような時期なのか,また,助産師さんにどのようなケアをしてもらいたかったのかを考えてみました。
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