調査
死亡胎児の法的な取り扱いについて―遺体としての尊厳と感染性廃棄物との間で
小門 穂
1,2
1科学技術文明研究所
2京都大学大学院
pp.172-175
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100054
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横浜産婦人科クリニックの報道
2004年7月20日,横浜市の産婦人科クリニックが人工妊娠中絶した胎児を一般廃棄物として捨てていたことが報じられた。4日後には,感染性廃棄物として処理する場合にかかる経費削減のため,妊娠12週以上の胎児も含め中絶胎児を一般廃棄物に混ぜて捨てていたことを院長が認めた。8月には,横浜市の告発があり,感染性廃棄物を業者に通知せずに一般廃棄物として廃棄した廃棄物処理法違反の疑いで,9月半ばには院長が逮捕された。10月には起訴され,2005年5月に有罪判決が出た。逮捕前の調査の過程で,環境省が,中絶胎児は本来廃棄物ではないが引取先がない場合は感染性廃棄物として扱わざるを得ないとの見解を神奈川県警に示したと報道されている。
この報道をきっかけとして,厚生労働省と環境省は2004年8月から9月にかけて47都道府県と保健所設置市57市に対して12週未満の胎児をどのように扱っているか調査を行ない,32の自治体が感染性廃棄物として処理していることが初めて明らかになった。
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