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富士見産婦人科病院被害者同盟―富士見産婦人科病院事件発覚から25年目の医師処分
大野 陽子
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1富士見産婦人科病院被害者同盟
pp.138-143
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100046
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富士見産婦人科病院事件とは
被害者同盟を結成
富士見産婦人科病院(以下,富士見病院)事件が表面化したのは,医師や検査技師の資格がない理事長が医療行為をしていたとして1980年9月10日に逮捕されたことがはじまりでした。
富士見病院の外来では,まず医師が問診・内診をしますが,そのあとすぐに「いい器械があるので詳しく調べてみましょう」と検査を受けるよう言われます。案内されたのが超音波断層診断装置のある検査室でした。そこで,患者のからだに直接触れて検査をするのも,検査結果について説明したり病名を告げるのも理事長でした。告げられた病名は「子宮筋腫」「卵巣のう腫」の両方というのがほとんどでした。「この器械だから判ったんだよ」と,当時はまだあまり普及していなかった最新の器械の威力を強調し,緊急に入院・手術が必要だと説得したのです。手術の承諾書をとるのも理事長でした。患者たちは,この人に医師や検査技師の資格がないとは疑ってもみませんでした。そして,理事長が患者に告げたとおりの手術が,免許のある医師の手で行なわれました。
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