連載 臨床発ケーススタディ 乳房トラブルはこうしてなおそう・7
未熟児の母子訪問
佐藤 祐子
1
,
齋藤 恵美
1
,
長内 佐斗子
1
1日赤医療センター未熟児室
pp.87-91
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100037
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
当センター未熟児室には,年間517名近くの入院があり,その内訳は,母体搬送や新生児搬送例が約4分の1を占める。妊娠中の母乳に対する意識もさまざまであるが,「自分にできることは搾乳だけ,できれば飲んでいる量は全部母乳を」という母親がほとんどである。
初回の面談時に,医師より母乳の大切さを説明し,看護サイドでは,分泌維持のためのケア方法を指導し,児に早期に母乳が与えられ,また,授乳練習が少しでも早期に開始できるよう取り組んでいる。しかし,授乳練習を連日実施しても,吸啜力が十分でないこと,乳頭混乱などから,母乳のみで退院される方は半数以下である。当院の母乳外来を受けながら分泌維持に努める母親も少なくないが,それでも,分泌低下はきたしやすい。長期入室や産褥入院をすすめ,より多くの時間を母子で過ごし,児に慣れてもらえるように,母乳育児ができる環境を提供している。
また,平成10年から,ほぼ全例に退院後の電話訪問を行なっている。プライマリーナースが退院後,一週間後を目安に実施している。相談内容のうち哺乳に関することは32.4%にのぼり,なかでも母乳の分泌が足りているかどうか,という相談が最も多い。
母子訪問は,訪問によるフォローが必要なケースのみ行なっており,体制はまだ十分には整っていない。
今回,母乳分泌不足感のためにミルクを足していた母子を訪問した。低出生体重児の母子訪問からみえてきた母子の現状と,低出生体重児をもつ母親の母乳育児を支えていくためのかかわりを,再認識したため以下に述べていきたい。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.