特集 母と子のきずな
母子結合からみた未熟児保育の現状
藤村 正哲
1
1淀川キリスト教病院・小児科
pp.558-563
発行日 1978年9月25日
Published Date 1978/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205430
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1.母子分離と母子結合の背景
わが国に未熟児室が定着してから,すでに少なくとも十数年を経ている。本来このような部門が必要とされるに至った理由として,①医療の場としての診断治療と看護の特殊性,②生活の場として感染防止・保温等の特殊性,があげられる。多くのパイオニアが手本としたCrosseの教科書1)には,①の特徴として,24時間態勢の診断・検査・治療が,新生児特殊看護室に不可欠の要素であると述べると共に,②として,感染防御のためには"──parents cannot be admitted to the nurseries──"と明記されている。
わが国において,どのような意図のもとに未熟児室が具体化していったか,詳細はこの文の目的ではないが,結果的に定着した実態を見ると,大多数の施設では何よりも感染防止,つまり隔離を重点に置いて導入されたようである。したがって,後でみるように,今も未熟児室の多くがCrosseの②の項目を忠実に実行している。
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