連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・22
十字架を背負って
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.92-93
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100038
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「仕方なかったよ,5キロもある赤ちゃんだったんだから」という夫の言葉に彼女は無言でうなずく。患者が許してくれようが私は自分を許してはいけない,1人の命を奪ったのだから……。そのことを書くには勇気がいる。しかし,自分の失敗であるほど正確に伝えるべきだと思う。
忘れられない出来事
それは4年前のことだった。クリニックに大きなお腹をした妊婦がやって来た。6妊5産の31歳。妊婦自身も予定日超過であって欲しくないという気持ちからか,最終月経が定かでない。聞く度に答えが違う。妊婦が言う月経周期は不規則で,3か月空くこともあるという。それを考えれば,過期産でない可能性もある。
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