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はじめに
札幌市は人口約197万人で日本最北の政令指定都市であり、2022(令和4)年に市制100周年を迎えた。札幌市北区は人口約28万人と札幌市の行政区の中で最も人口が多く、近年の出生数は約1700〜1800人で推移し、2019(令和元)年度の出生数は1741人となっている。2019年度の札幌市北区で支援した特定妊婦は、市外からの里帰り等も含め95人で、うち若年妊婦(19歳以下の妊婦)は29人となっている。
札幌市北区保健福祉部健康・子ども課(札幌市北保健センター)では、母子保健業務を所管する健やか推進係に保健師が11人(係長職1人、地区担当保健師10人)、児童福祉業務を所管する家庭児童相談室に保健師が1人(係長職)配属されている。
札幌市では児童虐待による死亡事案の発生を受け、母子保健と児童福祉に関わる職員がおのおのの立場や役割を確認・理解し合うことに加え、互いに持っている機能を重ね合い、それぞれが歩み寄った対応をする「のりしろ型」の支援を実践している。また、各区保健センターを母子保健法に基づく「子育て世代包括支援センター」および児童福祉法に基づく「子ども家庭総合支援拠点」として位置付け、健やか推進係および家庭児童相談室において出産や育児に関する相談への対応や継続支援を行っている。
その中でも、若年妊婦の支援においては、妊娠・出産の現実への理解を促し、安全な養育ができるようにサポート体制を確立していくことが保健師に期待されるが、実際には支援の展開が難しい事例も多数存在する。このため、若年妊婦の支援における保健師の困難感を明らかにし、効果的な情報収集や支援のための取り組みを行ったので、報告したい。
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