特集 結核対策の最近の動向
地域における結核への取り組み—札幌市における実態調査から
浜島 泉
1
Izumi HAMAJIMA
1
1札幌市白石保健所
pp.183-185
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900763
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◆はじめに
2000年までに全結核の半減および小児結核の絶滅をめざした取り組みが全国で展開されている.これらの課題の当面の中心的課題として家族内感染が注目されている.保健所に患者が登録されると,家族健康診断(以下,家族健診)が行われる.保健所の管理下での発病はぜひとも防がなければならない.
1987年から1991年まで,札幌市における家族内感染について保健所で実態調査を行った.感染者のうち,治療を行った者を治療群,化学予防(予防内服)を行った者を予防群とする.5年間の感染源は男125人,女55人で計180人,治療群が86人,予防群が200人であり,このうち患者数(感染源+治療群)266人を同時期の登録患者数2,985人と較べると約1:11,同じく感染性肺結核患者数1,241人と較べると約1:5であった.この時期は結核病学会(1985年)と厚生省(1989年)から化学予防に関する新基準が示され定着しつつある時期と一致している.本稿では,この実態調査の結果から,新基準に基づいた予防対策により,どのように予防効果が表れているか,また,一層効果を上げるポイントは何か,を読み取ることに努めたい.
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