調査報告
女性労働者に対する性差を踏まえた節酒支援
古野 貴臣
1,2
,
藤野 成美
1
,
藤本 裕二
1
,
井村 千尋
3
,
菊池 洋子
4
,
平田 歌織
5
,
早木 幸江
5
,
古野 望
6
1佐賀大学医学部看護学科
2佐賀産業保健総合支援センター
3株式会社吉積労働衛生コンサルタント事務所
4福岡看護大学看護学部看護学科
5佐賀大学大学院医学系研究科
6福岡県立精神医療センター太宰府病院
pp.50-55
発行日 2022年2月10日
Published Date 2022/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201801
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Ⅰ.緒言
アルコールは,喫煙,運動不足,不健康な食事に並び,がんや生活習慣病といった非感染性疾患の発症を高めるリスク因子である1)。また,メンタルヘルス問題や自殺との関連があり2),精神保健においても重要な課題である。産業衛生においても,アルコール使用障害は,疾病により生産性が低下した状態であるプレゼンティズムや,疾病により職場にいることができなくなるアブセンティズムと関連していると言われている3)。
加えて,アルコールによる社会的損失は,治療・労働や雇用の損失・自動車事故や犯罪・社会保障費の増大などにより4兆円に上ると推計されている4)。わが国ではアルコール依存症患者の生涯有病率は107万人であり,予防的介入が必要な生活習慣病のリスクを高める多量飲酒者は1036万人と推計されている5)。しかし,アルコール依存症患者のうち5万4千人程度しか専門医療機関に受診していない6)。
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