連載 ネウボラから学ぶ日本の母子保健再構築・8【最終回】
フィンランドのネウボラの必須のシステムを取り入れた自治体の活動の振り返り
横山 美江
1
1大阪市立大学大学院看護学研究科
pp.952-955
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201548
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フィンランドの母子保健は,国際的にも高い評価を受けており,優れたシステムを有している1)。このフィンランドにおける母子保健活動の地域拠点が「ネウボラ」である。日本では,妊娠が分かれば向かう先は病院であるが,これまでの連載でもご紹介したように,フィンランドでは妊娠が分かれば向かう先は病院ではなく妊産婦ネウボラに行く1)。そして,妊婦とその家族は,ネウボラを定期的に受診する。ネウボラには,地区ごとに担当保健師がおり,その家族に対して健康診査,両親教室あるいは家庭訪問などの保健事業を通じて同じ担当保健師が継続的に支援を実施している。出産後も同様に,子どもネウボラの担当保健師が家族全員に対して継続的に健康診査や家庭訪問等の保健事業を通じて支援する1)。
このようなネウボラの活動の中で必須と言えるシステムは,❶子どもを持つ地域に在住する全ての家族への継続的な支援(ポピュレーションアプローチ)により構築される担当保健師との信頼関係と,❷父親を含めた家族全員の支援である1)。このシステムがあるからこそ,保健師は家族との信頼関係を築きやすく,家族の抱える繊細な問題を早期に発見し,支援につなげることができている。
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