連載 ネウボラから学ぶ日本の母子保健再構築・6
高知版ネウボラ推進に向けた県の関わりと成果—母子保健のシステムづくり
宗崎 由香
1
,
田村 美智
2
,
畠山 典子
3
,
徳永 雅子
4
,
福島 富士子
5
,
横山 美江
6
1高知県健康政策部健康対策課周産期・母子保健推進室
2高知県健康政策部健康対策課(周産期・母子担当)
3大阪市立大学大学院看護学研究科
4徳永家族問題相談室
5東邦大学看護学部
6大阪市立大学大学院看護学研究科
pp.782-788
発行日 2020年9月10日
Published Date 2020/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201511
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はじめに
高知県の概況について
本県の人口は,1956(昭和31)年の88万3000人をピークに減少を始め,2019(平成31)年には71万7000人となった。2018(平成30)年の合計特殊出生率は1.48と,全国平均は上回っているものの依然として低く,出生数は4559人にまで減少するなど,全国に10年先行して少子高齢化が進んでいる。
本県は,中核市の高知市を含む34市町村からなり,県福祉保健所は5カ所である。
高知県保健婦駐在制度
本県では,1948(昭和23)年に保健所内に勤務していた保健婦を,より住民に身近な市町村の地区に駐在させ(保健婦駐在制),管内の公衆衛生の向上を目指し,全ての地域住民に保健サービスを平等に提供できるように活動を行ってきた。
その後,地域保健法施行後の1996(平成8)年度末まで,保健婦駐在制度で,県・市町村保健師の区別なく,地区担当制で担当地区内の健康問題を家族単位で支援するとともに,個人・家族から地域全体を捉えた総合的な活動を行ってきた。このような保健婦駐在制度において,県内全域に一定水準のサービスを確保し,県と市町村との間の保健課題の共通認識や連携のパイプ役として活動してきた歴史がある。
現在,保健婦駐在制度の理念を引き継ぎ,高知の県・市町村保健師の目指す姿である「保健師八策」(表1)を大切にしつつ,「住民の健康と生活に目を向け,寄り添いながら,誰もが暮らしやすい地域をつくる」という高知の保健師のスローガンの下,県に所属する保健師は,市町村保健師と共に活動している。
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