特集 高知・駐在制度をめぐって
高知県の保健婦制度について
山本 幹夫
1
1順天堂大学
pp.10-14
発行日 1969年9月10日
Published Date 1969/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204495
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はじめに
高知県で保健婦の駐在制をしいてから20年になるという。私はこの20年間に3回お邪魔して,保健婦の研修会でお話したり,直接保健婦さん達にお会いして,彼女たちの持っている悩みやご苦労を聞かせていただく機会があった。本誌が本年4月号で,高知県の保健婦駐在制を特集したので,私にその読後感を求められた。もとより管見いろいろと複雑な条件のもとに,上村さんはじめ,毎日毎日,1人1人の保健婦さんの努力のつみ重ねが20年つもってできた,立派な成果を,2度や3度行って拝見したぐらいでわかるはずはないし,そこが日本医師会長の武見先生もいう「大学教授の馬鹿さ」のしからしむるところだとは百も承知だが,親愛なる高知県の,さらにはわが国全体の保健婦さんの,ささやかな応援団を自任するものの1人として,この大役をお引受することにした次第である。
高知県の保健婦制度の特色はいろいろあるだろうが,私としては次の3点が,きわ立った特色としたい。そして,これら3つの条件がそれぞれ相互に関連して,住民生活に密着した住民主体の力強い保健婦活動の展開が可能になっているといえそうである。3つの特色とは,
1 駐在制,それにともなって,大部分の保健婦が,県の職員となっていること。
2 他県に比べて,高い保健婦の身分上の取扱い。
3 1年2回,ほとんど県下の保健婦が皆出席をする4日続きの合宿研修会
である。これらの3点について,私の所見を簡単に述べてみたい。
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