調査報告
基礎自治体における母子保健行政の現状と課題
後藤 拓
1
1前・法政大学大学院公共政策研究科
pp.752-757
発行日 2016年9月10日
Published Date 2016/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200521
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「妊娠から出産,子育てまでの切れ目ない支援」が全国的に求められている現在,母子保健行政に期待される役割は大きい。母子保健行政の指標の1つとして乳児死亡率があり,厚生労働省の調査では,2013(平成25)年には出生千対2.1(1947[昭和22]年は同76.7)となっている。このような状況で,「母子保健が世界一の水準にあるのは,戦後の公衆衛生活動の成果であることは疑う余地がない」1)と言われている。
一方で,母子保健行政の課題は児童虐待,発達障害,思春期保健等の広範囲にわたっており,児童福祉部門や教育部門等の他の行政部門との連携も重要である。しかし,その取り組みにおいては「保健が『児童虐待は福祉の仕事であり,福祉主導の方針に受身的に役割を果たす』立場をとることでは済まなくなっている」2)とも言われている状況である。また,地方分権の流れとして,2013年の母子保健法の改正により,基礎自治体が母子保健行政の全面的な実施主体となっている。
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