調査報告
地域と職域が連携して取り組んだこころの健康づくり対策
森田 喜代子
1
,
浦滝 恵津子
2
,
白石 都
3
,
坂田 壽乃
3
,
青木 瞳
4
,
柳川 拓三
5
,
細川 裕平
1,6
,
山本 嘉彦
7
1兵庫県但馬県民局但馬長寿の郷
2兵庫県但馬県民局豊岡健康福祉事務所
3兵庫県但馬県民局朝来健康福祉事務所
4保健師
5兵庫県丹波県民局丹波健康福祉事務所
6神戸大学医学部
7兵庫県健康福祉部障害福祉局
pp.1078-1085
発行日 2010年12月10日
Published Date 2010/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101496
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■要旨
わが国における自殺者数が,減少することなく3万人台を継続し社会的な問題となっているなか,兵庫県北部にある但馬地域の2003(平成15)年~2007(平成19)年の5年間平均自殺率は27.7と国や県に比べて高値で推移しており,とくに30~60歳の働き盛りの年齢層で高く,地域として取り組むべき健康課題であることがわかった。但馬地域の従業者の状況は,卸売・小売業や飲食店・宿泊業などの,従業者規模50人未満の事業所所属者が全体の74.6%であり,中小規模事業所勤務者が多い特徴がある。
そこで,まず労働者のこころの健康の実態把握と,地域・職域・医療などの関係機関の連携構築が喫緊の課題と考え,地域で取り組む端緒として,(1)実態調査(対象:労働者・事業所),(2)地域・職域関係機関の連携構築の基盤とするための検討会の開催に取り組んだ。
その結果,(1)地域産業保健センターや行政機関などの地域保健サイドと連携した中小規模事業で取り組めるメンタルヘルス対策の実施,(2)労働者や住民が安心して相談できる窓口の整備と周知,(3)うつ病の人を早期に相談窓口・医療機関へ紹介する体制づくりを検討するための連携構築の場の継続の必要性,(4)うつ病を中心としたこころの病気について正しい知識の啓発の継続,(5)自殺者数の分析から,今後の取り組みとして労働者だけでなく高齢者の自殺にも着目した地域での対策の必要性,という課題が明らかになった。
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