連載 水俣からのレイト・レッスン・4
生活現実としての水俣病被害
井上 ゆかり
1
1熊本学園大学水俣学研究センター
pp.818-822
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101966
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筆者が本稿で提起しようとする課題は,水俣市の北部に位置する芦北の女島という小さな漁村にまつわる話である。
水俣においては,「奇病」騒動で魚が売れなくなり,とくに1959(昭和34)年8月に水俣市鮮魚小売商組合が出した「水俣漁協の漁民がとった魚は一切買わない」という不買宣言を契機に,漁業協同組合(以下,漁協)の役員などが水俣病の発生を隠し,水俣病患者の存在を否定しようとしてきた。
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