調査報告
フィンランドにおける障がい者福祉に関わる戦略的な人権擁護の活動
本田 光
1
1北海道大学大学院保健科学研究院創成看護学分野
pp.140-147
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101535
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■要旨
福祉先進国として知られるフィンランドにおける障害者福祉に関わる戦略的な人権擁護の活動について紹介し,その概念的背景を考察することによって,日本における諸課題への取り組みのヒントを得たい。
視察期間は2009(平成21)年10月11~18日の8日間(移動日を除く)であり,視察した施設(団体)は13施設(団体)である。
障がい者の当事者団体は,それぞれの設立背景を基盤に独自の活動を行っており,活発に政策提言などを行ってきた。また,障がい者団体が自ら福祉サービス提供施設を運営しており,このことは団体運営資金の確保,障がい者の雇用,団体としての結束に貢献していた。また,そうした当事者団体の中枢には必ず当事者がおり,その組織の意思決定には彼らが責任を負っていたことに注目したい。障がい者人権センターでは,障がい者自らが博士課程までの学問を修めて研究活動を行っており,他国との比較や研究機関のメリットを生かしたネットワーク構築などを通して成果を公表していた。さらに当事者団体や福祉サービス提供施設では,実践者による自立した研究活動が行われており,このことは施設の理念と哲学の深化,および人材の育成に貢献していた。
以上を踏まえ,フィンランドの人権擁護を促進する活動と,日本の現状とを比較し,考察を深めた。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.