活動報告
精神障害者の子育て支援における保健所・医療機関・乳児院の役割と連携―有機的なチーム支援体制が構築された事例をとおして
高田 美也子
1
,
堀井 節子
2
1京都予防医学センター
2京都府立医科大学医学部看護学科
pp.918-923
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101466
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はじめに
NICE(英国国立医療技術評価機構)は,2007(平成19)年に母子精神保健の先進国の立場から,精神疾患を対象に,産前・産後のメンタルヘルスに関したガイドラインを作成した1)。このガイドライン作成の理由を岡野は,周産期に関連した課題があったからであると紹介している2)。また,厚生労働省の「子ども虐待による死亡事例の検証結果等について(第3次報告)」によると,養育者の心理的・精神的問題等(複数回答)について,とくに育児不安,うつ状態,養育能力の低さ,怒りのコントロール不全などが虐待のリスク要因となることが示された3)。精神障害や産後うつなどへの対応が課題となっているといえよう。そのようななか,保健・医療・福祉の連携と体制づくりが課題となっている。
地域における母子保健と精神保健の活動の第一線機関として位置づけられているのは保健所である。保健所では,保健師や精神保健福祉相談員などにより,さまざまな母子保健活動や精神保健福祉活動が行われ,子育て支援が展開されている。さらには関係機関の連携による子育て支援の体制づくりが地域の課題となっている。関係機関となるのは,保健所,病院,児童相談所,福祉事務所,子ども支援センター,乳児院,訪問看護ステーション,保育所,児童委員などである。
本研究では,乳児院の入所事例のなかから,精神障害者の子育て支援における有機的なチーム支援体制の構築された事例をとおして,保健所・医療機関・乳児院の役割と連携の実際と有機的なチーム支援体制が構築された要因について考察する。
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