連載 臨床倫理コンサルテーション・1【新連載】
医療機関における倫理支援体制
瀧本 禎之
1,2
1東京大学医学部附属病院 患者相談・臨床倫理センター
2東京大学医学部附属病院 心療内科
pp.369-371
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101955
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
臨床現場では,日々様々な問題が生じている.医学という不確実性の学問に従事しているのであるから,臨床家が日々頭を悩ますのは当然と言えば当然のことである.しかし,実際に頭を悩ますのは,治療方法の選択といった,純粋に医学的な問題だけではない.
例えば,医療者は,家族が患者本人への告知を望まない場合にどうするのか,社会的な入院適応しかない患者の入院をどう扱うか,療養指示に従わない患者にどう接すればよいか,患者と家族の治療方針が異なっており患者が軽度の認知症を有している場合はどうするのか,といった純粋な医学的問題ではない臨床上の問題に日々直面している.このような臨床上の問題に対して,組織としての対応方針が決まっていたり,医療者が相談するようなシステムがあったりする医療機関は少なく,多くの場合,個々の医療者が現場でそれぞれ対応しているのが現状である.本稿では,このような幅広い倫理的問題に対して,どのような支援体制が医療機関に必要とされているのかをについて解説したい.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.