特集 周産期からの児童虐待予防
医療と保健が連携した「子育て支援ネット」
美濃 千里
1
,
中野 則子
1
,
岡田 明美
1
,
藤原 恵美子
1
,
二位 ゆかり
1
,
長田 栄枝
2,3
1兵庫県健康生活部健康局健康増進課
2兵庫県立厚生専門学校
3元兵庫県健康生活部健康局健康増進課
pp.808-812
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100197
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
兵庫県では,2000年度の合計特殊出生率が1.35と全国に先行して少子化が進行し,また同年の児童虐待相談処理件数も1995年度の7倍,1999年度の1.3倍と増加しています。なかでも乳幼児が被虐待児の半数を占め,かつ生命の危機に直結する事例が増加しています。乳幼児期の親の育児不安・ストレス・地域や家庭での孤立化などは,虐待をはじめ,養育上支援を必要とするハイリスク因子ともなるため,とくに育児負担の大きい未熟児などのハイリスク児を早期に把握し,親と子を支援していくことが必要であると考えます。
従来,兵庫県においても医療機関から提供される未熟児出生連絡票によって訪問指導を実施していましたが,虐待防止の観点から,健康福祉事務所(保健所)や市町がより早期に速やかに適切な援助を実施することが大切であると感じました。そこで,医療機関から情報提供を受ける対象を乳幼児に広げ,ハイリスク要因を改めて規定するとともに,情報の流れをさらに円滑にし,県内全地域で医療と保健の連携の強化を図った医療情報提供システムを立ち上げました。それが「子育て支援ネット」です。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.