研究
A市自治体が運営する自死遺族自助グループの支援活動における保健師の役割
千葉 敦子
1
,
大山 博史
2
,
坂下 智恵
2
1青森県立保健大学看護学科
2青森県立保健大学社会福祉学科
pp.252-261
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101354
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■要旨
自殺対策基本法において,国および地方公共団体は,自殺者の親族などに対する支援を行うために必要な施策を講ずる責務が明文化された。具体的な支援方法として遺族などが心理的な悩みを打ち明けられる「分かち合いの会」などの自助グループによるケアが有効であるとされている。しかし,現状では民間団体が主催する自死遺族自助グループは散見されるものの,行政保健師における自死遺族自助グループへの支援活動に関する実践例は少なく,具体的な支援方法は明確にされていない。
そこで,本研究では,先駆的な事例であるA市自治体が運営する自死遺族自助グループ(以下,自死遺族会)における保健師の具体的な支援方法を明らかにし,行政保健師の役割を検討することを目的とした。A市の自死遺族会支援の担当保健師2名を対象に,約9か月間の継続的な半構成的面接を行った。面接時期は自死遺族会の会合後とし,計4回面接を行い,会合の状況と保健師の支援方法について聞き取りを行った。データは質的帰納的研究方法により分析を行った。
その結果,257のコードが抽出され,そこから52のサブカテゴリーと13のカテゴリーが見出された。このカテゴリーは,“遺族個人への支援”と“自死遺族会へのグループ支援”と“地域全体への支援”の3つにまとめられた。これらの結果は,先行研究で示されている保健師が行うグループ支援の特徴と類似した点があり,本事例における自死遺族自助グループへの支援活動は,地域の保健師活動の特徴を生かした支援方法である可能性が示唆された。
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