特集 今,学生と共にいのちを考える
自死遺族の悲嘆と立ち直り
平山 正実
1,2
1聖学院大学大学院
2北千住旭クリニック
pp.992-997
発行日 2011年12月25日
Published Date 2011/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101941
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はじめに
人間は,裸で生まれ裸で死んでゆく。しかも,永遠に生きるわけではなく,その死に方も,老衰死,病死,天災や人災による死などさまざまである。人災のなかには,医療事故や交通事故などによる死や,戦争や原発による死が含まれる。その他,自殺や他殺による特殊な死もある。とくに,自殺による死(以下,自死)は,予測がつきにくく唐突な形で死を迎えることが多い。自死の場合,残された者が,不条理感や罪責感をもちやすいことも共通する特徴である。また,自死は公認されない死であることから,他の死と比較して,悲嘆の度合いが重いといわれている。
本稿では,自死に伴い,自死遺族(以下,遺族)や医療従事者の受ける悲嘆感情について考え,その感情に対する向き合い方や立ち直り方について言及する。
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