調査報告
大学における保健師基礎教育制度のあり方に関する卒業生の意見
山口 佳子
1
1杏林大学保健学部看護学科
pp.244-251
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101353
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はじめに
今日のわが国における保健師基礎教育(以下,保健師教育)は,4年制の看護系大学(以下,大学)が主流となっている。大学における保健師教育は,看護師教育と保健師教育を同時に行う統合カリキュラムであるため,幅広い看護観を涵養しやすい,保健師教育を学問体系として教授できる1)などの長所がある。一方でさまざまな課題も指摘されており2-6),大学における保健師教育を充実させるために,保健師選択制の導入,看護師教育修了後の保健師教育の実施,修業年限の延長,教育内容の充実などのさまざまな提案が行われてきた。
2009年度からは,現行制度のなかで保健師実習や保健福祉行政論の単位数を増やす改正カリキュラムが導入されることになったが,実習場の確保,授業や実習の時間数の増加,実習期間の延長については,6割以上の大学が困難を感じており,教育制度そのものについて検討する必要があるといえる7)。しかし,教育制度のあり方については,保健師教育を行う側の教員や行政保健師を対象とした調査はあるが5,7-11),大学で保健師教育を受ける側に対する調査は見あたらない。
そこで,大学における保健師教育制度のあり方について,保健師就業経験のある大学卒業生が自らの体験をふまえてどのように考えているのかを明らかにし,今後の示唆を得ることを目的として本調査を行った。
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