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編集後記
杉之尾
,
長谷川
pp.164
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101341
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●以前は12月も半ばを過ぎると,どこかしら新しい年を迎える雰囲気ができるものだったが,いつの頃からか,正月が来るという気がしなくなった。かつてはおせちや餅の準備とか,正月の買物などが季節を感じさせてくれた。コンビニが随所にでき,デパートが競って元旦や2日から店を開けるようになって,特別な準備の必要がなくなった。窓ガラスを磨き,天井の煤を払い,電灯の反射板を拭くなどの大掃除の作業はビル掃除専門の業者がやるようになり,「廃棄」と書いた紙を貼るだけですんでしまう。正月を迎えるわくわく感も一緒に廃棄してしまったのだろうか。(杉之尾)
●手前味噌で恐縮ですが,弊社刊行の川口有美子著『逝かない身体』を読みました。涙腺が強い私にとって,約100冊ぶりに泣けた本でした。ALSの母親に対して筆者が行った「究極の身体ケア」と,その筆致の鋭さに衝撃を受けます。本書では保健師が印象的な場面で登場しますが,思い出すのは弊誌昨年12月号掲載のSMA患者への支援に関する高奥論文です。まさしく保健師の専門性を活かした事例だと思いますが,「特別なことはなにもしていない」との言葉に,保健師活動の素晴らしさを感じたものです。優れた文章は,実にさまざまなことを思い起こさせてくれます。(長谷川)
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