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●アメリカ発の経済異変と同様,政治面の異変も影響して,「チェンジ」ならぬ「政権交代」が起き,新内閣が発足した。これからさまざまな制度変更や調整があり,あらたな秩序のもとに世の中は進むのだろう。国会の議員会館売店で「祝・政権交代記念 紅白まんじゅう」なるものが販売されたというが,本当に,戦後政治史上初めての2大政党間の政権交代,大きな出来事だったのだな,と思う。
「政権交代」よりも肝心なことは,世の中を暮らしやすくすること,人々にとって暮らしやすい世の中にすることだろう。高速道路無料化,高校無償化,子ども手当て支給,等々,派手なことが目立っているが,現実には多くの財源が必要になる。後期高齢者医療制度廃止とそれに代わる新たな制度の構築,年金問題,新型インフルエンザ対策もあるだろう。
何事にも言えることだが,とにかく早く情報をオープンにして,国がするべきことと個人で準備するべきことを明示してもらいたいものだ。国が何でもやってくれるわけではないことを,われわれは既に十分知り尽くしているのだから。(杉之尾)
●弊誌2003年9月号の特集テーマは「HIV/AIDSとのつきあい方」でした。このときはHIV感染予防・啓発などに焦点をあてましたが,約6年振りとなった今月号の特集では療養支援に注目しました。小田原論文のなかで,「自分が罹るなら糖尿病とHIV感染症とどちらがより嫌か」という興味深い記述があるように,HIV陽性者の予後は大幅に改善されていますが,同時に長谷川論文の「HIV感染症は本当に慢性疾患になったのか?」という問いも重要だと感じます。本特集を企画するにあたってお話しさせていただいた,ある保健師の方は,ゲイバー(同性愛者が集うバー)に行き,ママ(店主)とコミュニケーションをとることで,彼らの性行動などの情報を得たことがあるそうです。日高論文にあったように,ゲイ男性は社会的な偏見を恐れ,異性愛者を装うことがしばしばあるため,同性愛でも異性愛でもいろいろな人がいるという当たり前さを実感できる貴重な機会になりえます。●11月26日から開催の第23回日本エイズ学会学術集会・総会は,ご執筆いただいた市川先生が会長を務められます。保健師の皆さまも奮ってご参加ください。(長谷川)
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