研究
保健師に求められる広汎性発達障害児と保護者への支援ニーズの検討
井伊 暢美
1
,
平野 亙
1
,
高野 政子
1
,
宮崎 文子
1
1大分県立看護科学大学
pp.318-323
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101183
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■要旨
本研究は,保健師が必要であると考えている広汎性発達障害(以下,PDD)児と保護者への支援ニーズ,および保護者が保健師に求めている支援ニーズについて,その内容と支援の必要な時期を明らかにすること,また,保護者の保健師への不満の原因となる不対応の要因を検討するとともに,支援のあり方を考察することを目的として,母子保健の経験がある保健師と12歳未満のPDD児の保護者に質問紙を用いた構造化面接を行った。
保健師の認識する支援ニーズとPDD児の保護者が保健師に期待している支援ニーズは,「PDDに関連した情報提供」と「社会資源に関する情報提供」の2点で一致した。しかし,重点的な支援が必要な時期の認識では,保健師は「乳幼児健診時」,保護者は「気づいたとき」としており,有意な差が認められた。不対応の一因は,保健師は保護者が児の障害を認識するまでの支援に焦点をあてているのに対し,保護者は保健師の支援に先行して児の障害に気づいていたことによると考えられた。
保健師に求められる支援ニーズは,障害に気づいている保護者に対しては,情報の提供,保健活動の周知,心理的な支援,地域での保健・医療・福祉の連携や,生涯にわたる支援体制をつくることであると考えられる。また児の障害を認識していない保護者に対しては,まず児の早期療育への支援と同時に保護者の認識・受容を支援する必要があると考えられる。このような支援を行うために,より専門性の高い教育を保健師に対して行う必要性が明らかとなった。
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