調査報告
介護保険施設での感染性胃腸炎集団発生時における職員の罹患状況
吉村 隆子
1
,
日置 敦巳
2
,
窪田 いくよ
3
,
堀 幸子
4
1岐阜県西濃保健所
2岐阜県関保健所
3岐阜県西濃保健所損脊センター
4岐阜県健康福祉部
pp.324-328
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101184
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■要旨
介護保険施設でのノロウイルスによる感染性胃腸炎集団発生時における施設職員の勤務環境と罹患状況について調査を行った。
施設職員の16%は利用者の吐物を浴びた(吐物曝露)経験を,54%は吐物の処理を行った経験を有していた。糞便処理は介護職員および看護職員のみが行っていたが,吐物処理については事務系職員も関わっていた。しかし利用者の吐物曝露・吐物処理・糞便処理の経験の有無による職員の罹患率に有意差はみられず,職員への主たる感染経路は特定できなかった。また職員が発症した場合には,その後,職員家族が罹患する割合が高かった。
介護保険施設では,利用者が高齢で,さらには認知症の場合もあり,手洗いや消毒の徹底が困難である。そのことから,明らかな感染危険因子以外の施設利用者本人や利用者が接触する環境表面についても,感染源になることを十分に意識し,手洗いを中心とした対策を徹底することが重要と考えられた。
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