調査報告
介護保険制度開始後の行政機関が関わる事例の類型化とその役割の研究―A市B区2行政機関と在宅介護支援センターが関与した困難事例の分析から
小倉 千恵子
1
,
榊原 千佐子
2
,
近藤 あゆ子
3
,
杉本 佐榮子
4
1名古屋文理大学短期大学部
2愛知きわみ看護短期大学
3名古屋市昭和保健所
4名古屋市包括支援センター
pp.1012-1017
発行日 2007年11月10日
Published Date 2007/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100898
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■要旨
高齢者の介護サービスが「措置から契約へ」と変化するなか,あらためて行政機関の役割,責任を考えるため,保健福祉行政機関が実際に関与した困難事例を分析し,行政が関わる困難事例の類型,把握方法,処遇内容,処遇結果,連携機関の状況などを明らかにした。
その結果,今回困難事例の6割が介護認定を受けておらず,独居や認知症などの精神障害や身体,知的障害者が多く,地域社会から孤立しがちで顕在化しにくい状態にあり,介護福祉サービスの情報が届いていないか,または利用できる能力に欠けていると考えた。
これらの困難事例に対する行政機関の機能としては,生命の保障に対する緊急対応,生活基盤となる後見人制度や身元保証制度,生活保護や救護施設への入所などの手続き支援,地域ネットワークを活用した多様な社会資源の活用などがあげられ,保健福祉の協働と地域住民による見守り支援が「在宅継続」を可能としていた。福祉窓口に相談が集中していることから,福祉分野の保健師の采配が解決の鍵を握っていると考えられた。
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