特集 児童虐待の防止に向けて
子どもの性的虐待の実態とその対策
福島 富士子
1
1国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
pp.318-323
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902292
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わが国において,子どもへの性的虐待が重要な公衆衛生上の課題であることが指摘されるようになったのは,1970年代末から1980年代初めのことであるが1),それが広く認識されるようになったのは1990年代に入ってからであり,児童虐待の他の問題に比べ,一般の認識もまだまだ希薄である.
性的虐待の問題は,潜在化しやすく,他人が介入するのが大変難しい問題である.これは,被害者の家族や周りの者もその事実を知ったとしても,その事実を隠蔽してしまう傾向が強いこと,したがって,妊娠など深刻な状態になるまで無視される可能性も非常に高いこと,また,虐待を加える側に子どもへの性的虐待は人権を脅かす重大な犯罪であるという認識がないことなどがその理由として考えられる.そして,その背景には,わが国における「性」の扱われ方の問題がある.
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