連載 BOOKS
―援助者必携 はじめての精神科―己の感情に的確に向き合うことが,精神科の真髄
柏木 由美子
1
1東京都町田保健所
pp.826
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100562
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生活の場面において,精神科での治療や援助を必要とする人々(以下,「ケース」という)との出会い方は,実に多様で複雑である。ケースとの関わりは,当事者や家族が精神科に関わることをどのように感じ,受けとめているのか,その気持ちを思い描くことから始まる。しかし,往々にして周囲(住民,関係者など)や家族の圧力に巻き込まれてしまいがちである。また,精神科の現場では,想像もできないような場面に出会うことも少なくない。
そのため,現場にいる私たちには,厳しい現実や混乱した状況に対峙し,その場で判断することが求められる。つまり,援助者の姿勢や力量が絶えず問われているのである。私は,判断や援助の能力を高めるためには,その時々の自分自身の迷いや不安,戸惑いや怒りなど,ゆらぎの感情に向き合うことが大切だと考え続けてきた。
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