連載 フィールドワーク往復絵手紙・8
子どもから大人へ
星野 晋
1
1山口大学医学部・文化人類学(医療人類学)
pp.790-793
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100553
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季節ネタをひとつ。農暦(旧暦)7月7日,七夕のこの日,台湾の古都台南市ではその年16歳になる若者たちを祝う祭が催される。その数日前に母方の祖母から,お祝いの贈り物をもらい,前夜(もしくは祭の当日)には,親戚や友人たちを招いて祝宴を開く。当日は自宅もしくは道教の廟である開隆宮で,祝いの拝拝(祈願)をする。
開隆宮は1732年に建立された古廟である。七夕の日は主神である七星娘娘(七星媽)の誕生日であるが,彼女たちは子どもを守護する神様といわれており,拝拝には成人するこの日を無事迎えられたことへの感謝の意が込められている。かつてこの近辺の港湾労働者は,16歳になると一人前の賃金を得ることができたのだ。
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