調査報告
ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者への市町村保健師の支援の実態
宮内 薫子
1
1飯田女子短期大学専攻科地域看護学専攻
pp.174-179
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100407
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■要旨
本調査の目的は,A県の市町村保健師のドメスティック・バイオレンス(以下,DV)被害者への支援の実態を明らかにすることである。
A県内118市町村の保健分野で働く保健師542人を対象に自記式質問紙調査を実施。DV被害者との遭遇経験を聴き,さらに遭遇経験のある保健師に印象に残っている1事例について遭遇・支援状況を調査した。
356人から回答があり,回収率は65.7%であった。保健師の158人(44.3%)がいままでにDV被害者に出会っており,出会った活動場面は保健センター・役場への来訪,電話,乳幼児健康診査・健康相談,乳幼児・成人・高齢者家庭訪問が多かった。出会ったきっかけは,保健師への相談が138人で,DV被害者がDVに関して相談する前に保健師が気づいたのは17人であった。初回の相談内容は,子育てや精神保健のことなどDV以外の内容から始まることが多かった。保健師の146人がDV被害者に何らかの対応をしており,その後,108人が継続支援をしていた。
保健師はさまざまな活動場面でDV被害者に出会う機会が多く,DV以外の相談からDVの問題が明らかになることが多い。そのためDVに関する視点をもちながら住民の話を聴き,支援が必要な場合,関係機関と連携して関わることが大切である。DV被害者の早期発見と支援のために,保健師のDVに関する認識を高めるための教育・研修の充実が必要である。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.