今月のニュース診断
DV(ドメスティック・バイオレンス)への基本的視点
加藤 秀一
1
1明治学院大学社会学部 社会学・性現象論
pp.274-275
発行日 2002年4月25日
Published Date 2002/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902851
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DV法逮捕第一号
昨年秋(2001年10月13日)に施行されたDV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)に基づく全国初の逮捕者に対する初公判が,2002年2月14日に高松地裁で行なわれた(asahi.com「MY TOWN香川」2月15日)。記事によれば,被告である24歳の男性は昨年の11月,妻に危害を加える恐れがあるとして,6か月間の接近禁止を高松地裁から命令されていたにもかかわらず,その後も妻の実家に侵入したとして,DV法の「保護命令違反」と住居侵入の罪に問われている。妻や子どもへの暴力は98年から始まっていた。検察側は,平手打ちで妻の鼓膜を破るなどの暴力の実態を示したうえで,懲役1年を求刑している。
被告は起訴事実を認め,「これまで妻や子供に対してしてきたことを後悔し,立派な社会人として立ち直りたい」と話したという。その言葉が真実であることを願いたい。同時に,おそらくまだ若いであろう被害者が新しい生活に踏み出していけるよう,精神的にも物質的にも十分な支援を受けられる社会的体制作りが望まれる。
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