研究
高齢者の全身持久力を評価するための3分間足踏み歩行についての考察
木村 厚子
1
,
山本 千夏
1
,
山田 祐子
1
,
草間 朋子
1
1大分県立看護科学大学保健管理学研究室
pp.180-185
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100408
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■要旨
高齢者が高いADLを確保し,健康寿命を伸ばすためには,1人ひとりの高齢者が筋力,柔軟性などの健康関連体力を常に一定のレベルに保っていることが重要である。全身持久力は,健康関連体力の重要な1項目である。全身持久力測定法として現在汎用されているエルゴメーター法は,高齢者では負荷が大きすぎるために実施率が低く(20%以下),安全上も問題があり,実用的な測定法ではない。そこで,本研究では,高齢者に対して健康診断の場で実施できる全身持久力の測定法として,「3分間その場足踏み歩行」を実施し,その前後の心拍数,血圧,末梢血酸素飽和度の変化に着目し,安全かつ簡便な手法であるか否かについて検討した。
その結果,3分間歩行は全身持久力を測定するための運動負荷(最大心拍数の65~70%)として適切であり,実施率(96.1%)も高く,高齢者にとって安全であることがわかった。また,全身持久力を判断するために着目する生理学的指標としては,3分間歩行実施後の収縮期血圧の増加(30mmHg以下:全身持久力優れている。50mmHg以上:全身持久力劣る)が有用であることが明らかとなった。
老人保健法の基本健康診査に全身持久力などの生活関連体力の測定を導入し,保健指導に活用することにより,高齢者の介護予防を積極的に推進できるものと考えている。
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