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■要旨
本研究は,老人福祉センター(以下,センター)の男性利用者のQuality of Life(QOL)と身体状態,精神状態,社会状態などとの関連を明らかにすることを目的とした。
O市内の3つのセンターの利用者で,本調査に任意に参加した男性81名(平均年齢±標準偏差:74.0±5.4歳,年齢幅65~87歳)を対象とし,QOLとしてEuroQOL(EQ-5D),身体状態として呼吸機能(7項目),握力,10m歩行速度,精神状態としてSelf-Rating Depression Scale(以下,SDS),社会状態として生活満足度をLife Satisfaction Index-Z(以下,LSI),幸福度をVisual Analog Scale(以下,VAS)により測定し,それらの関連について分析した。
その結果,男性利用者のEQ-5Dの平均効用値は,前期高齢者0.893±0.136,後期高齢者0.910±0.135であり,地域集団を対象とした従来の研究結果と比べ高い値を示した。また,年齢の影響を除外したうえでのEQ-5Dの効用値は,比肺活量(%VC)r=0.29(p<0.01),呼気予備量(ERV)r=0.23(p<0.05),努力性肺活量(FVC)r=0.33(p<0.01),1秒量(FEV1.0)r=0.29(p<0.01),握力(左)r=0.20(p<0.05),LSIr=0.28(p<0.01),VASr=0.24(p<0.05)と有意な正の相関を,SDSr=-0.24(p<0.05)と有意な負の相関を示した。一方,SDS,LSI,VASは,呼吸機能のすべての項目との間に相関が認められなかった。
以上のことから,センターの男性利用者はQOLが高く,高齢者はセンターを利用することで,身体的・精神的・社会的に良好な状態をバランス良く保つことができ,その結果,QOLを維持もしくは高めることができることが示唆された。
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