特集 医学教育と公衆衛生
国立公衆衛生院の卒後教育
高石 昌弘
1
Masahiro TAKAISHI
1
1国立公衆衛生院
pp.472-477
発行日 1987年7月15日
Published Date 1987/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207502
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■はじめに
複雑な経済的国際関係,急速な高齢化社会への突入など,われわれを取り巻く社会情勢は予想もしなかったほど激しく変化してきた.科学技術の進歩も予測し難いほどのスピードを示している.医学の進歩も例外ではあるまい.しかし,医学教育についてはどうであろうか.もちろん多くの画期的な試みがなされていることも事実であろうが,医学および教育学におけるそれぞれの理念および技術の相違を考えてみると,現実にはなお多くの問題が残されているといわざるを得ない.教育技術に関する教育方法学的検討が,医学教育のなかに導入され始めてからまだ日が浅いからであろう.
人びとの健康と福祉につき,医学よりもさらに広範な領域として大きな関わりをもっている公衆衛生の分野では,「公衆衛生教育」として「医学教育」よりも大きな視野の広がりと視点の多角性が求められていると思われる.本稿では,わが国における公衆衛生教育に最も早くから携わってきた国立公衆衛生院の卒後教育について,その内容の概略を述べるが,初めに次の2点に留意して頂きたい.
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