連載 読みきり短編小説 手をつないで歩こう・5
始発列車
渡辺 真琴
pp.672-677
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100298
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「つーかさ,お前,マジで平気なわけ?」
「何が?」
「何がって,社会的にも認められた夫婦なのにさ,することしてないわけだろ?」
僕の方に顔を寄せ,声をひそめて高木は言った。
「またその話か…」
聞き流そうとした僕の言葉をさえぎって,高木は続けた。
「またって言うけどさあ,俺はお前と月ちゃんのことが気になって仕方がないんだよ」
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