Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「苦役列車」―友達ができない男から人間発達の課題が見えてくる
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.1569
発行日 2012年12月10日
Published Date 2012/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108861
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仕事柄,発達障害や精神的な困難を抱える青年や学生の相談にのることが多い.彼ら彼女らの困難や葛藤の正体は,「普通じゃない自分」にある.普通だったらアルバイトをしたり,友達とお喋りしたり遊んだりしているのに,自分にそれはない.その気持ちの裏に潜んでいるのは,労働と仲間づくりへの渇望的とも言える願いである.したがって,多くの場合,実現可能なアルバイトやグループ活動の場を紹介しただけで目を輝かせ,実際,そこでの体験が浮上のきっかけとなる.人は誰でも労働と仲間を欲求する.
「苦役列車」(監督/山下敦弘)は,日雇い労働者である北町貫多(森山未来)の友達づくりとその転変,挫折と決意の物語である.
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