FOCUS 中山間地における配食ボランティアサービスの発展にみる自立支援のしくみづくり 住民・保健師・福祉職の協働のあり方
高齢者の自立支援の観点からみた配食ボランティアサービスの意義と課題
吉本 照子
1
1千葉大学大学院看護学研究科看護システム管理学専攻
pp.375-377
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100086
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配食ボランティアサービスに関する問題の所在
日本の配食ボランティアサービス(以下,「配食サービス」)は,一部の地域で30年以上前から開始された。都市部において,住民が身近な高齢者の食事の問題に対して援助を開始し,地域全体に配食サービスを広げ,さらにボランティアの組織化を進めた過程に関する報告1)もみられる。また,日本における配食サービスの先進例を参考にしながら,米国のNPOによる給食サービスを運営した実践例において,日本のボランティアでは「助け合い」が強調されるが,米国では個人主義的であり,ほかのボランティアとの交流についてはそれほど期待されなかったと報告されている2)。こうした先進事例や日本のボランティアの特性から,配食サービスは高齢者の自立支援において,住民による支え合うしくみの一環として期待できる。
一方,自治体の配食サービスに対する取り組みでは,自立支援のしくみの一環として発展していくように支援するというよりは,むしろ配食サービスに関連する国の政策に対応しながら,運営方法を選択してきたような例もみられる。配食・移送ボランティアに対する調査結果において,ボランティアは行政との連携や活動のための情報提供などを内容とする「地域において活動を位置づけるための支援」を求めていた3)。しかし,保健福祉職の立場から,配食サービスを地域ケアのしくみに位置づけた報告やその過程に関する報告は比較的少ない。また,住民による高齢者の自立支援がなされている状態とはどのような状態かについて,明確に述べた報告も少ない。
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