調査報告
東北1地域における自殺予防の可能性への態度とその関連要因
鳩野 洋子
1
,
川底 トシエ
2
,
山本 夕へ
2
,
新毛 淳子
2
,
田村 恵子
2
,
田村 由美子
2
,
稲葉 洋子
3
,
平野 かよ子
4
,
山田 和子
5
,
島田 美喜
6
,
奥田 博子
7
1国立保健医療科学院
2岩手県一戸町役場
3岩手県庁
4国立保健医療科学院
5和歌山県立大学
6東京慈恵会医科大学
7国立保健医療科学院
pp.310-314
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100075
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■要旨
地域における自殺予防活動の展開のための基礎資料を得ることを目的として,地域住民の自殺予防の可能性に対する態度に着目し,その実態と関連要因について検討した。調査方法は,東北某地域の住民基本健診の場での自記式の質問紙調査である。分析は自殺予防の可能性に対する回答により,対象を「肯定群」「否定群」に分け,関連要因として設定した項目や属性との関連についてx2検定を行うとともに,2群を目的変数としたロジスティック回帰分析を実施した。
分析対象は30歳代以上の868名とした。自殺予防の可能性については,「肯定群」が686名(79.0%),「否定群」が182名(21.0%)であった。ロジスティック回帰分析では,「自殺に対する受け止め方(あってはならないこと)」「自殺の動向に対する正しい知識」が1%水準で,「年代」「身近な人の自殺の経験」が5%水準で採択された。
肯定群の割合の高さから,当該地域住民は自殺予防活動を受けいれる素地を有すると思われる。今後は住民の自殺に対する捉え方や自殺の実態の把握を行いつつ,知識の普及を行うことの必要性が示唆された。
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