調査報告
子ども家庭支援事業「総合相談」来所者の保健ニーズと保健福祉の連携のあり方
長谷部 史乃
1
,
九島 久美子
2
,
村松 とみ子
3
,
山田 和子
4
1日本赤十字武蔵野短期大学
2東京都世田谷区砧保健福祉センター
3東京都世田谷区北沢保健福祉センター
4和歌山県立医科大学
pp.304-309
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100074
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■要旨
子ども家庭支援事業の総合相談では,窓口の相談員は保健師とは限らない。相談員が来所者との対応のなかから保健ニーズを捉え,必要な人を保健部門へつなぐ方法を相談事例から分析し,保健と福祉が連携した対応のあり方を検討した。
2003(平成15)年度に相談窓口に来所した新規の直接来所者を対象に,相談家族の状況と対応内容,保健ニーズを抽出した。相談家族はひとり親や生活基盤が脆弱な家族も多く,慢性疾患や障害・精神疾患をもつ家族員も存在した。さらに妊娠・出産,若年であることなどが生活や育児に困難な状況をもたらしていた。相談者の主訴は保育所,緊急保育,生活費,ひとり親へのホームヘルプ派遣などの福祉制度への申請相談が主であり,子育て相談を主訴とするものは少なかった。相談員は子どもの発育や,長期療養が必要な家族員(精神疾患,難病,慢性疾患,障害児など)の存在など,家族の多くの情報を捉えていたが,それらを保健部門につなぐべき保健ニーズとしては判断しにくいようであった。
今後,相談者の背景を総合的に捉え,保健師など保健部門に的確につなぐアセスメントのためには,①子どもの状況,②親の状況,③生活の状況,④サポート体制の4つ観点が必要である。また,子どもの発達状況や子育ての状況を把握するためにも,乳幼児健診などの母子保健事業との連携を図ることが有効であることがわかった。
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